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公益社団法人 京都府放射線技師会

放射線技師会とは

我々診療放射線技師とは、1983年12月に制定された診療放射線技師法で「放射線を使用した全ての検査」、「MRI装置を使用した検査」、「超音波診断装置を使用した検査」、「無散瞳眼底カメラを使用した検査」を許可された国家資格です。この国家試験は文部科学省または厚生労働省が指定した学校で、3年間以上の養成教育を終了・卒業した者に受験資格が与えられ、合格すると厚生労働大臣より診療放射線技師資格を与えられます。同じような職業に看護師、臨床検査技師、臨床工学技士、管理栄養士、保健師、助産師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、義肢装具士等があります。
その診療放射線技師の免許を持った者が集まり、職能団体として活動しているのが、放射線技師会なのです。
主な活動として市民に対して啓発、全国の診療放射線技師に対して資質の向上を行っています。
ここでは日本放射線技師会が行っている事業をご説明いたします。

東日本大震災での活動について

平成23年3月11日に起こった東日本大震災でもたらされた福島第一原発事故は、放射性物質が日本国土に飛散するという原爆以来の出来事になってしまいました。放射線を取り扱う職業として、日本放射線技師会は3月12日に対策本部を設置し、3月16日より福島県にて住民を対象とした汚染測定(サーベイ)をボランティアとして行いました。それ以降の活動を通して、今回の原発事故により飛散した放射性物質のお話をさせていただきます。大震災でたくさんの人々が仕事、ボランティアで活動しているのはマスコミでの報道でもご存知かと思いますが、その中の一話としてお聞きください。

3月12日に起きた福島第一原子力発電所1号機の水素爆発により放射性物質が飛散されていることが確実となり、半径20km圏内の住民に避難指示が出されました。日本放射線技師会はその当日中には放射線サーベイヤの派遣を計画し始めており、翌13日には内閣府と厚生労働省よりサーベイヤ派遣の要請を受けています。3月16日に第一陣として12名の放射線技師会会員を避難所へ派遣しました。避難所にて避難民と近隣の住民の中の希望者に対してサーベイを行っています。4月中ごろまで55名の派遣を行い、約15,600名の住民のサーベイを実施し、サーベイ終了証明書を発行しました。
その後、福島第一原発近郊の避難地域での津波被災者の遺体捜索が本格化すると、死後1〜数カ月経過した遺体が見つかることがあり、その場合、放射性物質の付着がないことの確認がされないと発見場所から移動できないので、この遺体サーベイに関しても4月11日より5月下旬まで人員を派遣し、約500体の遺体をサーベイしました。
7月からは、福島第一原発敷地内にある診療所に会員を派遣しています。原発事故の復旧作業に毎日1,000名以上の作業員が従事しており、その作業員の医療体制として原発敷地内に救護所が設けられました。ここには医師、看護師そして診療放射線技師が常駐することになり、その人員派遣を厚生労働省より依頼され、日本放射線技師会から派遣を行っています。これは平成24年4月現在でも続けられており、今後数カ月以上は派遣を行う予定です。


職能団体としての活動

診療放射線技師法が変わります
メディアでも大きく取り上げられたRI検査での診療放射線技師の判断による過剰投与、注腸検査で警察の家宅捜索を受けた施設がある等、平成23年は我々の業務上での話題が多々ありました。日本放射線技師会ではこれらの問題に対して、全国の施設での診療放射線技師の業務を調査し、法律と現状の相違点を洗い出しました。それを踏まえて診療放射線技師法を改正するように働きかけており、平成24年度には改正される予定です。改定される予定の内容は以下の通りです。
各医療団体や厚生労働省が「チーム医療」として、職種の枠組みを超えてそれぞれが協力して日本の医療の質を上げていこうと活動しています。法律上では、診療放射線技師は「医師、歯科医師の具体的な指示の元、人体に放射線を照射することができる」となっています。つまり、医師から診療放射線技師へは指示が一方通行としか解釈できません。これでは撮影部位で左右の違う指示などがあっても、そのまま撮影することしかできません。チーム医療として間違っていることや、疑問点などがあれば診療放射線技師から指示医へ問い合わせできるようにと、チームプレイを盛り込んで改正する予定です。
CT検査やMR検査で造影剤のインジェクターのスイッチを押すことは、人体へ薬剤を投与することになりますので、現状の法律上ではグレーゾーンになります。RI検査での調剤や投与も放射線技師が行っている施設が多々ありますが、これもグレーゾーンです。さらに、胃透視や注腸検査でのバリウムの調剤や投与も同様です。この現状との乖離を解消すべく、改正する予定です。

給与調査
全国の会員にアンケート方式で、給与の調査を行っています。これは会報誌である「日本放射線技師会雑誌」にて毎年6月ごろに公表されています。経験年数ごと、年齢ごとに詳細に報告され、過去10年間での推移もわかります。

国際活動
アジア諸国(韓国、台湾、中国)と交流を図り、放射線機器管理士・放射線管理士・医用画像情報管理士については、国際専門放射線技師認定機構による国際認定試験として実施しています。

医療被ばく低減施設
書面審査と訪問審査を行い、「医療被ばく低減施設」として認定しています。認定期間は5年間です。

技師格認定制度

現在、日本で活動している診療放射線技師は多くが専修学校か短期大学を出ており、その場合大学卒業で与えられる学士を持っていません。日本放射線技師会としては全国の専修学校・短期大学を廃止し、大学とすることで、より専門の教育を受けて現場で働いてもらうように法改正を目指していますが、現在の診療放射線技師免許取得者との格差をなくすため、技師格認定制度を制定しています。

アドバンスド放射線技師
専修学校・短大と大学との履修科目の違いを「看護学」、「医療社会倫理学(平成19年度まで「医療学」)」、「救急医療学」、「医療安全学」とし、日本放射線技師会が開催している各セミナーを修了し、それぞれの単位認定試験に合格し、さらに放射線機器管理士・放射線管理士・医用画像情報管理士・臨床実習指導教員の4認定資格(後述)のうち2資格以上取得した者にアドバンスド放射線技師の称号が付与されます。
このセミナーには会場に集まって講習を受ける従来のスタイルで、教育センター(鈴鹿)や教育センター東京サテライト、あるいは地方にて日本放射線技師会が開催いたします。また、e-learning(インターネット)による視聴、もしくはDVD教材を用いて自宅等にて自分の好きな時間に学習を行います。なお、実技を伴う科目については会場開催に参加いただく形となります。セミナーは全国を9つの地方に分けて、それぞれのセミナーについて約2年に1回程度実施されます。

シニア放射線技師
アドバンスド放射線技師の称号を受け、次のいずれかに該当する者に与えている称号です。
1)学士号を有する者
2)筆頭著者として学術論文1編以上を著した者
3)生涯学習カウント別表より1000カウント取得した者

マスター放射線技師
さらに、シニア放射線技師の称号を受け、次のいずれかに該当する者に与えている称号です。
1)博士号を有する者
2)筆頭著者として学術論文3編以上を著し修士号を有する者
3)生涯学習カウント別表より3000カウント取得した者

認定資格制度

放射線を人体に対して扱う職業として、各分野で専門の知識を習得した者に「放射線機器管理士」、「放射線管理士」、「医用画像情報管理士」、「臨床実習指導教員」の4つの認定資格制度があります。各講習を受講し、各認定試験に合格した者にこの認定を与えています。それぞれの領域に関連する新しい知識と技能を常に保持することが求められるため、5 年ごとの更新制度を設けています。

放射線機器管理士
現在の放射線診療においては、画像診断機器や放射線治療機器、関連する情報管理機器まで幅広い機器の特性を理解し、その安全かつ適正な利用のための機器管理が実施されねばなりません。診療放射線技師が大学等での養成課程で学んでくる機器管理・品質管理の知識をベースに、各分野の関係法令や標準規格まで十分に学ぶために講習を実施しています。

放射線管理士
医療施設内外における放射線安全管理に貢献できる人材の育成に努め、放射線被ばくから国民の生命の安全確保に努めることを目的として設けた資格です。講習や試験では診療における放射線防護はもちろん、医療以外においての線量計測、除染、災害時対応や関係法令を専門的に学ぶこととなります。

医用画像情報管理士
近年の医療分野では電子カルテ等、電子媒体での運用がほとんどで、検査画像や動画も電子化されています。そこではPACS・RISの運用管理を行う知識を持ち、適切な医用画像の利用を進める人材が求められています。医用画像の品質確保と効率的なワークフローの実現、HIS/RIS/PACS連携、広域PACS連携、遠隔画像診断における画像情報管理の講習を実施しています。

臨床実習指導教員
財団法人医療研修推進財団(P-MET)が実施している実習施設指導者講習会の受講者に対し、日本放射線技師会主催のグレードアップ講習会を実施して、臨床現場に即した最新の知識を習得していただきます。臨床実習指導教員としてのスキルアップを積んだ上で臨床実習を効果的に実施し、診療放射線技師の資質向上を図ることを目的として設けた資格です。

臨床技術能力検定制度

診療放射線技師の持つ日常の臨床業務に関する知識・診療技術を、一定の基準により検定して、各分野において優れた技能があることを証明しています。これには3級まで制度があります。
技能検定3級 検定項目において、知識レベルが基準に達していると判断された者。
診療放射線技師免許取得者なら誰でも受験できます。
技能検定2級 検定項目において、高い知識レベルを有しているとともに、業務遂行に際して必要な専門技術を備えていると判断された者。
アドバンスド放射線技師を取得し、当該臨床技術能力検定項目3級以上を取得し、臨床経験が通算3年以上の者が受験することができます。
技能検定1級 検定項目において、高い知識および専門技術を有し、秀でた指導能力を備えていると判断された者。
当該臨床技術能力検定項目2級以上を取得している者が受験することができます。
実施科目は以下のとおりです。
放射線治療 照射技能検定
計画技能検定
線量測定技能検定
総合放射線治療技能検定
核医学 放射性医薬品取扱い技能検定
一般核医学検査技能検定
特殊核医学検査技能検定
総合核医学検査技能検定
検査技能検定 一般撮影技能検定
MRI検査技能検定
X線CT検査技能検定
超音波検査技能
乳房検査技能検定
消化管検査技能検定
心・血管撮影技能検定
読影技能検定 胸部読影技能検定
腹部読影技能検定
中枢神経読影技能検定
骨画像読影検定
乳房画像読影検定
本検定の有効期間は5年間で、更新制度は設けておりません。取得した検定科目・級数を維持していくには、常に有効期間である5年以内に、同項目の同階級もしくは上位級を取得する必要があります。

生涯学習セミナー

診療放射線技師は専門の技術と知識を有した者に与えられる免許であります。技術というものは医療分野だけでなくとも日進月歩であり、常に学習を行わないと時代についていくことができません。また知識にしても、実験や研究により日々新たな事実が判明し、今日の常識が明日の非常識になることもあります。つまり、日々の基本的な学習を怠ると技術職者として失格となります。
放射線技師会としては「診療放射線技師基礎講習」として分野ごとに基本的なことから学べる講習会を開催しています。「一般撮影」を初め、「X線CT検査」、「MRI検査」、「消化管検査」、「乳房検査」、「核医学検査」、「放射線治療」講習会を全国9つの地区ごとに約年1回程度実施しています。

京都府放射線技師会

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